何回も書いているけれど、数年前に母が旅だった。突然の旅だち。
父がわが家に来て一緒にくらすコトになった。わが家は、とてもとてもせまい。
急いで、両親のたくさんの荷物を片づける必要があった。
その中で、母の着物。ほとんど手ばなした。母の着物を一枚とナニカ着物関連の一箱だけ、なんとなく、残した。当時は精神的にも時間的にも選別したり、もう少しのこそうという発想をもつ気持ちの余裕がなかった。
また、母の着物ではないが私の七五三のトキの着物ものこした。あなたも、七五三のトキに着てくれた思い出の一枚。
着物は、わが家の棚で数年間眠っていた。
トキはすぎ、あなたが正装をする機会を迎えようとしていた。あなたが言った。
「おばあちゃんの着物、使えるかな?」
そのコトバだけで、うれしくて泣けてきた。ありがとう。おばあちゃんも喜んでいるよ。感じる。
さて、なにをのこしていたのか。私の着物は覚えているが、母の着物の記憶はない。
数年ぶりに、着物を出してみた。
まずは、私の七五三の着物。着物だけだった。帯は、片づけたのね…。まあ、仕方ない。
母の箱、一つめを開ける。帯が出てきた。記憶にない。
二つめを開ける。うすい赤色で家紋が一つハイッタ着物。なんとなく、覚えているような…。
急いで写真を探してみた。
私の七五三のトキに、母がきていた着物だった。
親子での七五三のトキの着物が残っていたんだ!
さらに写真を見ると、帯は両親が仲人さんをしたトキのモノだった。
手ばなした着物の写真も出てきた。キレイな着物。正装で使えそうな着物。
なんだか、もったいないコトをした…。
あなたは言った。
「あのトキ、これ以上のコトはムリだった。このかわいい着物があるから、よかった」
ありがとう…。母と私、うれしくて親子で泣いてるよ。
でもやはり、もったいないコトをしたというなんともいえない気持ちは、しばらく消えなかった。

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