兄弟が中学生だったか。雨の日、家の中で一緒に遊んでいた。
茶の間の机をたたんで六畳一間を使った遊びがはじまった。
前転をしたり、あぐらをかいて足首を手で持ってごろんまわったり。後転もしたかな。
母もニコニコ楽しそうにみていた。
次の遊びは幅跳び。助走をつけずに部屋のはじから向こう側へとぶ。まずは私、ピョン。次は兄弟がドスン!バリン!!
勢いあまって窓ガラスへ突入。キレイに割れた。盛大に割れた。
人生ではじめて、一瞬にして空気がこおるという意味を知った。
笑い声も笑顔も消えた。
「お父さんが帰ったらあやまろう…」
重苦しい空気が数時間ながれた。
父、帰宅。
私はパニック状態に近く、泣きながら何かを父に伝えた。それまで父に怒られたことはなかったのでこわかったのか、ガッカリさせたくなかったのか。
なにを伝えたかはわからないが、母も兄弟も父と話していた。
父は、ニコニコしていた。
「兄弟仲がいいことはよくわかったよ。次は気をつけてね」
その父の姿は忘れられない。ありがとう。
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