あなたの習いごとのおもいで話。
あなたには15年つづけた習いごとがある。
技術の習得を大切にしながらも、楽しむことをより一層大切に考えていた。
だからこそつづけられてきた。
幸い、器用なあなた。技術の習得もそれなりに順調だった。当時の先生のおコトバをお借りすると「飲み込みが早くて、コツをつかむコトが上手」と。
その習いごとは、みんなで楽しく発表する場と、順位がつく大会のような場があるモノだった。普段は仲よくしているお友だちとの間に順位や点数という上下が決まる。
楽しむコトに重きをおいていた、あなた。順位がつく大会も、出場の場が一回でも増えるならと、毎回参加していた。
最初数年間は、好成績という結果はついてこなかった。お友だちが好成績をだしても落ちこむコトなく、あなたは楽しい場だったと笑っていた。
私も本番だけではなく、その日を迎えるまでの準備期間を楽しく過ごしていたあなたをみるのは、うれしいことだった。
大会でしか会えない遠くのお友だちも増えていった。
遠くのお友だちと応援しあう姿には、私もあたたかい気持ちになった。うれしかった。
月日を重ね、あなたも大会で結果がついてくるようになった。習い始めたコロには一番年下だったあなたは、気がつけば最年長になっていた。
時代がかわれば、まわりもかわる。結果にこだわるご家族が増えた。
あなたは、自分が大満足の内容のトキに、下の方の順位だった経験をしていた。
逆に不本意だったトキにありがたい結果をいただいたコトもある。
結果にこだわるご家族。あなただけが出場した大会について、聞いてきた。
「どうだった?」
あなたは奥ゆかしく答えた。
「楽しかったです」
そのご家族は、あなたをはげますようなコトバをかけて、すぐに場を去った。
少しして先生から結果を聞いたのか、走って戻ってきた。
「優勝って言ってよ。おめでとう!!」
順位を言わなかったあなた。思いこみで残念な結果だと決めつけたご家族。
そのご家族のお子さまは結果がついてこなくなり、すぐに退会。
それ以降、私もそのご家庭とのつながりはなくなった。
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