そして時はさらに過ぎ、卒業式。申し訳ないほどに感傷的な気持ちはなく、やっっっと、この高校と縁が切れるとホッとした気持ちだった。
担任の先生は校長に翌年度の更新を依頼されたそうだが、キッパリとお断り。いったん、ご自身の体調や奥さまのご病気をふまえ、少しゆっくりされるという。
高校になんの問題もなければ、一年前に定年退職後されてご家族とゆっくりされていたのかと思うと、ほんとうに申し訳ない気持ちでいっぱいになる。不安を抱えながらも、きっと毎日笑顔で担任の先生を送りだしていらした奥さまにも感謝の気持ちでいっぱいだ。
ちなみに高校三年生のときには、別の教師が担任だった。頼りない教師だった。生徒たちからの信頼もない。カゲでは「書類上の担任」と言われ、真の担任は、あの担任の先生だ、と。進路に関する面談はあったが、わが家はもちろん、みんな、担任の先生に相談していた。
担任の先生がクラスの子たちにどれだけ信頼されて感謝をしているのか、卒業文集を見ても、よくわかる。たくさんの子が、担任の先生のことを書いている。みんな感謝している。
ときどきドクを吐かれることも含めて、人間味ある、心あたたかい、人格者。ステキな担任の先生に出会えて、あなたは幸せだね。
担任の先生がお詫びと卒業祝いをかねてと、卒業式が終わりしばらくして、お食事の機会を作ってくださった。親子で喜んで伺った。私たちこそ、どれだけ言葉を重ねても感謝の気持ちを伝えきれないほどなのに。
その日の帰り際、これからもずっと、人生の担任の先生でいていただくお約束をしていただいた。
つづく
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