綿菓子

たわいもない話

子どものころ、近所でお祭りがあると母がいつも連れていってくれた。小さな町の小さなお祭り。夕飯を食べてからお散歩というかんじで、すでにはじまっているお祭りを途中から見にいった。

私が子どものころのお祭りは、まだまだのんびりした雰囲気だった。もちろん場所とりなどしなくてもおみこしをみることができた。金魚すくいやヨーヨー釣りをして帰る。甘いものは得意ではなかったけど、普段はなかなか買えなかった綿菓子を買うときもあった。

お祭りが土日のときは、父も一緒に行った。両親は世代的に、お祭りが楽しみで、遠くからそっとみることが好きだった。

あるときのお祭り。母と二人で行くことに。母の自転車の後ろに乗っていった。一通り楽しんだあと、父にお土産を買って帰ることにした。父はきっと喜ぶから、と、綿菓子を買うことにした。そのときの綿菓子は、袋がなくてむき出し。母は自転車を運転するので、私が綿菓子を持ち、後ろに乗って帰った。

母に綿菓子をつけないように。あれ、風にあたり、綿菓子がどんどん小さくなっていく。もう私の顔より小さい。それでもさらに小さくなっていく。。。

家についたとき私が手にしていたのは、少しベタベタした割りばしだった。

父が帰ってきて割りばしをみせると、大喜びしていた。割りばしのベタベタを味わって、お祭り行かれてよかったね、お土産ありがとう、と。心から喜んでいた。

子どものころの、ささやかなあたたかい思い出。

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