ふとおもいだしたお話。
学生時代の、駅前の自転車置き場のお話のつづき。
申し込み受付をしてくださったおじさんと、もう一人のおじいさん、お二人でこの自転車置き場を担当されているようだ。
職員のおじさんは、もう一人の方に「一番の子」と紹介してくださった。
「よろしくお願いします!」と私はごあいさつをした。
混んでいない時間帯にとめるので、おじいさんとも顔見知りになった。
少し遅れた日には「今日は遅いね。間に合うかな。自転車、とめておくから早く行ったら」
ありがたい。
たわいもない雑談から、お子さまの話や私の学校でのお話までするように。
また、自転車置き場ではなく近くでバッタリお会いしたときも、声をかけてくださった。
ありがたい。
自転車置き場は、3ヶ月ごとに契約更新がある。何年も何年もお世話になった。私は学校を卒業した。その後も朝は早くない環境だった。また、職員の方々も異動されることはなかった。
朝のささやかな会話はつづいていた。
ありがたい。
そして私は結婚することに。同じ街で暮らすけれども、駅まで歩いて行かれる距離。
長い間お世話になった自転車置き場とお別れ。
職員のおじさんに今までのお礼を伝えた。
腰がぬけるほどビックリとは、こういうコトか。おじさんは驚いて、両手を広げて大きな声をあげていた。
「おめでとう!ちょっとさびしくなるね」
ありがたい。
しばらくして、おじさんは異動されたようで別の自転車置き場にいらっしゃった。
たまたま通りかかった私に気づき、満面の笑みで声をかけてくださった。
「一番の子!元気?楽しくやってる??」
私のささやかな、あたたかい思い出。
コメント