整理番号「一番」の子と呼ばれて@2

おもいで

ふとおもいだしたお話。

学生時代の、駅前の自転車置き場のお話のつづき。

申し込み受付をしてくださったおじさんと、もう一人のおじいさん、お二人でこの自転車置き場を担当されているようだ。

職員のおじさんは、もう一人の方に「一番の子」と紹介してくださった。

「よろしくお願いします!」と私はごあいさつをした。

混んでいない時間帯にとめるので、おじいさんとも顔見知りになった。

少し遅れた日には「今日は遅いね。間に合うかな。自転車、とめておくから早く行ったら」

ありがたい。

たわいもない雑談から、お子さまの話や私の学校でのお話までするように。

また、自転車置き場ではなく近くでバッタリお会いしたときも、声をかけてくださった。

ありがたい。

自転車置き場は、3ヶ月ごとに契約更新がある。何年も何年もお世話になった。私は学校を卒業した。その後も朝は早くない環境だった。また、職員の方々も異動されることはなかった。
朝のささやかな会話はつづいていた。

ありがたい。

そして私は結婚することに。同じ街で暮らすけれども、駅まで歩いて行かれる距離。
長い間お世話になった自転車置き場とお別れ。

職員のおじさんに今までのお礼を伝えた。

腰がぬけるほどビックリとは、こういうコトか。おじさんは驚いて、両手を広げて大きな声をあげていた。

「おめでとう!ちょっとさびしくなるね」

ありがたい。

しばらくして、おじさんは異動されたようで別の自転車置き場にいらっしゃった。

たまたま通りかかった私に気づき、満面の笑みで声をかけてくださった。

「一番の子!元気?楽しくやってる??」

私のささやかな、あたたかい思い出。

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