整理番号「一番」の子と呼ばれて@1

おもいで

ふとおもいだしたお話。

私が学生だったころ、駅前の自転車置き場は無料だった。遅めの朝には、たくさんの自転車がすでにとめられている。私の自転車をとめる場所をあちらこちらとさがしたり、よその方の自転車を寄せてスペースをつくったりして、なんとか自転車をとめていた。

あるとき、その自転車置き場が有料になるというはり紙が。申し込み開始の日時も書かれていた。

いつもギリギリやっと自転車をとめている状況。すぐに満杯になってしまうのでは。

私は申し込み開始の当日、受付開始時間の少し前に行ってみた。

やさしそうな職員のおじさんがお一人いらっしゃるだけ。

「ずいぶん早いね。一番乗りだよ」

そうなんだ。時間より早かったけれども、おじさんは手続きをしてくださった。

「はい、整理番号一番ね」

自転車に自転車置き場の名前と「1」の整理番号が印刷されたシールをはった。

翌日、置き場をさがすコトなく、安心して自転車をとめられた。

「おはよう!」

例の職員のおじさんが声をかけてくださる。

混んでいない時間なので、おじさんの作業にも余裕があるみたいだ。

「整理番号一番の子だよね」

おっ、覚えていてくださったんだ。

なんとなく、うれしかった。

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