ふとおもいだしたお話。
私が学生だったころ、駅前の自転車置き場は無料だった。遅めの朝には、たくさんの自転車がすでにとめられている。私の自転車をとめる場所をあちらこちらとさがしたり、よその方の自転車を寄せてスペースをつくったりして、なんとか自転車をとめていた。
あるとき、その自転車置き場が有料になるというはり紙が。申し込み開始の日時も書かれていた。
いつもギリギリやっと自転車をとめている状況。すぐに満杯になってしまうのでは。
私は申し込み開始の当日、受付開始時間の少し前に行ってみた。
やさしそうな職員のおじさんがお一人いらっしゃるだけ。
「ずいぶん早いね。一番乗りだよ」
そうなんだ。時間より早かったけれども、おじさんは手続きをしてくださった。
「はい、整理番号一番ね」
自転車に自転車置き場の名前と「1」の整理番号が印刷されたシールをはった。
翌日、置き場をさがすコトなく、安心して自転車をとめられた。
「おはよう!」
例の職員のおじさんが声をかけてくださる。
混んでいない時間なので、おじさんの作業にも余裕があるみたいだ。
「整理番号一番の子だよね」
おっ、覚えていてくださったんだ。
なんとなく、うれしかった。
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