母は、打ち上げ花火をみることが好きだった。といっても、打ち上げな会場に行くのではなく、家からみられるどこかの打ち上げ花火。
七月八月の週末は、あちらこちらで花火大会がある。都心と自然豊かな地域のちょうど真ん中あたりに住んでいたので、その時期には東に北や西に南、玄関先にベランダに部屋の窓からと忙しそうに、と夜空を見上げてうれしそうにしていた。
中でも一番喜んでいたのは、地元自治会の小さなお祭りでの打ち上げ花火。
その花火は、わが家のベランダが特等席。目の前に打ち上がり、火薬のにおいもただよってくるような迫力。毎年のように、一緒にみていた。そして、この花火をみると一年終わったというか、次はまた一年後という気持ちになった。さびしいという感覚ではなく、また来年ね、楽しみに待っているよと言ったらいいのかな。
今はもう、畑がどんどん住宅地になって自治会の打ち上げ花火なくなってしまったけど小さなお祭りは続いている。十数年前、平成の時代まで打ち上げられていた。今になって、とてめ貴重なステキな経験だったのかなと思う。
今年も、打ち上げ花火の季節に。私が母のように、あちらこちら夜空を見上げてニコニコしているような気がする。
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