私の兄弟は、祖父に見た目が似ていると言われることが何回かあった。
祖父は、父と母が結婚する前に旅立たれている。私はもちろん、兄弟も祖父にお会いしたことはない。
祖父は頭脳明晰。誰もが知る明治の文豪の教え子だった。最近聞いた話だと、祖父のお兄さまも別の明治の文豪の教え子だったそうだ。
祖父はそのうえに、とてもとてもおだやかな方だったそうだ。
年の離れた従兄弟や従姉妹たちは、祖父のことをよく知っている。
余談だが、従兄弟や従姉妹はそれぞれ、兄弟、姉妹の仲がよろしくない、らしい。それに比べると私たち兄弟は平和。
ある日、従兄弟に私たち兄弟仲よくてうらやましいというようなコトを言われた。私はそのように言われたときいつも同じコトバを言う。心の底から思うコト。
「それは兄弟がおだやかだからです」
そう答えると、従兄弟は私の兄弟がうまれる少し前の話を聞かせてくれた。
「ある日、おじさん(私の父)がみた夢の話。私の兄弟が母のおなかにいるころの夢。
祖父は夢の中で玄関から家に入り【これから世話になるね】とおじさんに告げた。
いまのように、うまれる前に性別もわからない時代。元気に祖父に似たオトコのコがうまれた。そのコが私の兄弟。」
そう、祖父はおだやかな方だったらしい。
父がみた夢の話は、私たちより年上の親戚みなさんには有名な話だったらしい。
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