父の家系は、学者肌というか、もの静かな空気感。だけどあたたかな笑いはたえない家系。父はかなりにぎやかだったけれど、奥深い考え方の上にたつ、社交性。
その昔、二男伯父は戦争に。父の家族で唯一、赤紙が来た伯父。長男伯父は体が弱く、戦争には行かなかったと聞いている。
幸い、二男伯父は無事に帰還された。
二男伯父はだいぶ前に旅立たれているけど、戦地での大変なお話は、小さかった私も、ハッキリ覚えている。普段はおもしろい伯父だったが、戦地での話は、一瞬の冗談も許されない雰囲気だった。
そのような二男伯父は、帰還後、学問の道へ進まれた。元々お持ちの能力を最大限に生かされ、立派な学者となられた。今でもお名前を調べるとたくさんの情報が見つかる方。そして結婚された。結婚されたあとに栄転、ご夫婦ともに住み慣れた関東から九州方面へ引っ越しをされた。
慣れない土地での暮らしは続かなかったらしい。昔、父に聞いた話ではホームシック。仕事はいったん元の場所に戻り、まだ学生だった父、ご両親と、二男伯父一家が一緒に暮らすことに。
長男伯父もまた、立派な学者。お仕事もご家族も、関西方面を本拠地に、すっかり定着されていた。将来的にご両親の近くに暮らすのは長男という時代だったが円満に、二男伯父ご家族がその立場にということになったらしい。
父は結婚するまで大家族で一緒に暮らしていた。父の記憶では、その同居にときどき疑問を持っていたらしい。
つづく
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