若いコロは、終電数本前の電車で帰るような日々だった。いま思うと元気だったね、私。いや、いまも元気だけど、質がかわってきた。
最近は出あるくコトが減った私。
先日、久しぶりに遠くまで出かけて遅い時間に都心を通る電車に乗って帰宅した。
夕方の帰宅ラッシュも過ぎ、逆に少々すいている谷間のような時間帯。
ホームで電車を待っていたトキ。同じく電車を待っているベテランの年代の男性が、立ちながら寝ながらフラフラしている。顔色は赤く、楽しそうな表情から、きっとステキな飲み会だったのかと思われる。
失礼ながら、観察。寝ながらフラフラ~カクン、フラフラ~カクンをくり返している。ホームドアがあって、本当によかった。
電車がきた。ホームドアがひらいた。電車のドアもひらいた。男性は、電車に気づかずにフラフラ~カクンしている。
空席が多く、私は余裕で座れた。
電車のドアがしまる直前に、その男性が乗りこんできた。私の目の前の席に座った。
座っても寝ながらフラフラ~カクンしている。ガラガラの電車、申しわけないが私の隣でなくてよかったと思ってしまった。
バタンッ!!!
その男性、頭から崩れおちてイスから倒れた。私の足もとに。動けなくなっている。
とっさに私はなにもできなかった。
リュックが首に絡んでいる。しかし男性は、眠りつづけている。
同じ車両のみなさん、立ち上がりこちらをみている。なにか連絡している方も。
若い男性が、自分の荷物を投げ捨てて助けにいらした。さらにひとり、もうひとり。手を貸している。
駅に連絡が入ったのか、次の停車駅で駅員さんが待っていた。助けに入った方々と一緒に男性は電車を降りた。
「ただいま急病人の対応をしているので運転を見合わせます」と、車内放送が。
男性がお酒でフラフラだったコトを知っているのは、きっと私含め数名。失礼ながら、この場合も急病人といわれるんだ、と、社会勉強になった。
しばらくして電車は運転再開。手を貸した方々は、電車に戻ってこなかった。
若い世代の方々の、あたたかい瞬時の行動にホッとした。
私は、なにもできなかった。
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